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水が出た!!

【水が出た!!】

920日(金)

朝早く水道屋さんが来てくれた。

菩提樹が倒れた時、

そのわきに埋まっていた水道管を壊し断水。

事前に掘って漏水のか所を見つけておいた。

水道氏、さすがプロの眼力で、

「これつなぎ目が外れただけで、

壊れてないからつなげばすぐ出るよ」

という嬉しい言葉。

ものの20分ほどで開通。

蛇口からほとばしる水をみた時ほど

嬉しかった時はない。

古代人が水場を探し当てた心境かな。

これで明日からは、ポリタンクを積んで、

給水行脚に行かなくともすむ。

断絶されているライフラインは

電話線だけになった。

インターネットができねぇ(笑)





【仕事再開】

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台風15号来襲から12日目。

ようやく仕事を再開できた。

とにかく焼き物は水がないと始まらない。

今まで貴重な水は

生活用水として使ってしまったものだから、

けっきょく器作りにまわす余裕がなかった。

まっ、仕事より命が大事ってことか……

「死んでもラッパをはなさなかった」木口小平より、

凄味がないなぁ(笑)

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制作途中だった粉引手の器たちには

カビが生えてしまって、これをとらないと

白泥を掛けることもできず難儀した。

とにかく、表面をもう一度水拭きして泥掛け。

2週間ぶりに、粉引手の板皿4枚完成した。

明日は、粉引手輪花角鉢に取り掛かろう。

電気も水道もなく、

その上屋根の一部分が露出したニ、三日間は、

一日が何んとも慌ただしく

細かく記憶もできずに

過ぎていくみたいだった。

一週間ほどして電燈が点いてから、

夜は文字が書けるようになり、

一日を少し振り返りたくなった。

ただどこか空気漏れしていて

ふわふわした落ち着きなさは続いていた。

そして今日。

器に向かい、僕と器しかない世界に浸ることで、

ようやく腑に落ちた想いをしている。

やっぱり僕には、

「たかが焼き物。されど焼き物」なんだろう(笑)


# by mikoyaryou | 2019-11-04 08:36 | 焼き物屋 | Comments(0)

実録・台風15号

被災して、ふた月たった。
この間の出来事を綴ってみた。
まずは台風15号来襲の9月9日から……


99日・午前230

目覚めると、部屋中の明かりがついていた。

かみさんが強風と豪雨の音に寝られず、一階でテレビの台風報道を観ている。

この時までは、かつて房総を直撃した台風とさほど違わないだろうとたかをくくっていた。

33 0を過ぎたころだろうか、玄関先でバリバリという音。

外を覗いてみると、アケビの棚が垂れさがっている。

こんな骨組みだけのものがなんで折れるのよ? と、一瞬不思議に思ったけれど、

さして気にも留めなかった。実はこれが台風狂騒曲の第一楽章目だった。

南西の角、玄関前にあって春に若葉を、六月には淡いぼんぼりのような小花を、

秋には黄葉を、そして冬には見事な枝ぶりを、四季折々楽しませてくれた菩提樹の大木が、

西側の屋根をこそぎながら根こそぎ倒れてしまっていた。

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 もちろん、そうとは気づかない僕は、

 同じことをくり返すテレビ報道に少々うんざり、

 二階へ戻って床に就いたとたんの事だった。

 頭上でものすごい破壊音。

 それと同時にシャワーのような雨が降り注いだ。

 おいおい、天井がないじゃねぇか(笑)

 漆黒の闇から大粒の雨が落ちてくる。

 これが、狂騒曲第二楽章の始まり。

 東側の屋根の三分の一が、

 ものの見事に吹き飛ばされてしまった。

辺りは原初の修羅と化す。停電!!

慌てて階下に降りてみると、今度は第三楽章。

南に面した掃き出しの大窓が、破裂するように砕け、ガラス片がバラバラと降る。

強風で家がきしむ。かみさんを引きずるように二階へのぼり、

唯一部屋割りしてある彼女の寝室へ入ると……

待ってましたとばかり、第四楽章のティンパニーが鳴り響いた。

なんとまぁ、ここの大窓も破損かよ。真っ暗闇の中、彼女を風雨の当たらない西の角へ、

僕はトイレへ籠る。雪隠詰め? ここしか避けられるところがないんだもん(笑)

台風の中へ裸で放り出された気分がする。まんじりともしないで、夜明けを迎えた。

明るくなって目にした光景は、いやはや「廃屋」だね。

一階、二階の床にはガラスの破片や、木の枝、葉っぱが散乱して、

天井からは水滴が滝のように落ちてくる。

「呆然」というより何が何だかわからない可笑しさがこみ上げる。

とにかく、「被災」とは人智の及ばぬ力にねじ伏せられることなんだとしみじみ思う。






99日・午前900

ご近所のYさんご夫妻、Bさんご夫妻が、駆けつけてくれた。

彼らの周辺も被害を受けたというのにありがたい。

ちょうど今読んでいる『支配の構造』SB新書)の中に出てくるネイション

――血縁でない見知らぬ者たちとのつながり。僕らはネイションなんだ。

さすが人海戦術で、散らばっていたガラス片や諸々の家具が片付いていく。

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破壊のすさまじさも、次第に明らかとなる。

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大まかに片付け終わったころ、長男坊から携帯にTEL

続いて次男坊、三男坊からも……実情を話すと、

みな休みをとり、来てくれるという。心細さがじんわり解消する。






910日・午前930

昨日、同じ町内に住むSu君にTELして、今後のことを相談していた。

とにかく早急に、むき出しとなった東側の屋根へ、ブルーシートを掛けなきゃならない。

建築士である彼のことがすぐ頭に浮かんだ。

Su君とは不思議な関係で、僕が初めて赴任した学校の卒業生。

こんな遠くで出会えたのも何かの縁――というより、彼にとっては何んとも迷惑? (笑)

一緒に酒を飲んだり、今回のように相談事をしたり、助けてもらっている。

陶芸家のBさん夫妻もそうだけれど、Su君夫妻も、

こんな辺境の地に住む老人二人暮らしにとっては、何かと心強い助っと。

……というわけで、今回も知り合いの業者を誰か紹介してもらうおうとTELしたのだ。

やれやれ(笑)

ところが、「僕やりますよ」という、うてば響くような返答。

こんなところが嬉しいんだよね、Su君は。すぐさま、明日からの段取りをつけてくれた。

ホッ。持つべきものは同窓だな。これもネイション?

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 残暑の厳しい日差しの下で、

 ブルーシートを張る下地作りが始まった。

 休みの取れた次男坊がSu君の手助けをする。

 僕は高所恐怖症なので、ただ見ている(笑)

 どんどん仕事がはかどり、

 午前中にはほとんど完成した。

 彼らが汗だくで働くわきで、

 僕はずぶ濡れの布団を干す。

 いろいろの事が複雑に入り混じって起きているけれど、

 一つ一つほどき解決していくしか、方法はない。

         

午後、隣町から数時間かけ長男坊家族がたどり着く。

って、「たどり着く」という表現がぴったりなんだよね。

いたるところ通行止め、また、いたるところ渋滞で、交通事情もめちゃくちゃみたいだ。

彼の所は、停電しているものの水は出るらしい。ここより状態がいいだろう。

かみさんをしばらく預かってもらうことにした。

「親父も来いよ」と言ってくれたけれど、これでも一応世帯主なので(笑)、

傷ついた家を夜だけとはいえ独りぼっちにはできない。






911日・午前830

今日も晴。晴れるのは嬉しいけれど、残暑も厳しく屋根での作業はしんどいだろう。


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いよいよブルーシートを張る段階になり、長男坊と三男坊がSu君のアシスト。

もう一方で倒れた菩提樹を処理しないと西側の作業がまったくできない。

ここはBさんと次男坊がチェーンソウ・ワークよろしく大木を切り分けていく。

息子たちには初めての体験ばかり。

三男坊曰く「面白いなぁ」おいおい、親父の不幸で学習するなよな(笑)

次男坊は消防士なのでチェーンソウ・ワークは研修したみたいだけれど、

倒木の処理には特別な技術がいる。

その微妙なテクニックにすっかり魅せられたみたいで、Bさんに弟子入りする勢い。

これもまた「塞翁が馬」って事なんだろう。

陶芸教室の長老、Aさんも駆けつけてくれた。

とにかく彼は働き者で、熱中症は気がかりになったけれど、

庭に散乱している木くずや、断熱材を集めてもらった。こちらは僕がお手伝い。

「顔で笑って心で泣いて」の被災者にとり、

まわりの方たちに動いて頂けるのがどんなに心強く嬉しいことか、改めて思い知らされた。

それはちょっと葬式にシチュエーションが似ている。

顔の広い彼には、施工業者まで紹介してもらった。これで、ようやく復活のめどが立つ。





913日】

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 隠遁?生活もこれで五日目。かみさんは、

 いまだ停電の続く長男坊の家から、

 東京に住む妹の所へ……

 僕は、毎日彼の所で水を汲み、風呂を借りながら、

 ときどきがっつり食事をさせてもらっている。

夕方、空を見上げればすっかり秋色になっていた。

今宵は中秋の名月。

あの荒れ狂った魔王のような自然のもう一つの顔。

だからなのか、戦争のような人為的破壊にはない、何んと言ったらいいのだろう。

安らぎに似た哀しみみたいなものが滓のように残る。

そうだ。何が哀しいかと言えば、家屋が半壊したことではなく、電線がちぎれ、

水が出なくなったことでもない。

ここでの家族史を共に過ごしたあの菩提樹を失ったことなんだと気づく。

この樹は、大好きだった義父が植え、育てたものだ。

強く、優しく、そして哀しい、日本の父親像そのものだった彼の化身ともいえる大木が、

三十年余りの年月、僕ら家族を守っていてくれたに違いない。

御古屋台は、とにかく南西風が強いことで知られている。

この強風から家を守り続けていてくれた菩提樹が倒れてしまったとたん、

家は自然の猛威にさらされた。

一楽章がなければ、おそらく二、三、四楽章はなかっただろう。

こじつけかもしれないけれど、それはまた、「今度はお前が菩提樹になる番だ」と、

義父が呟いているようにも思えた。

息子たちの四人いた祖父母の中で、一番先に他界した義父。

けっきょく彼は、最も長く家族を見守り続けていたのかも知れない。

ほんとうにこれで、一つの時代が終わったのだという想いを噛みしめている。  


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# by mikoyaryou | 2019-11-03 20:51 | 言の葉つづり | Comments(0)

いよいよ終盤


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制作の途中で水が回り壊れてしまった壺の

再挑戦したものがようやく完成した。

今回は「朧霞紋」と勝手に名付けたテクスチャーを

試してみた。

果たして効果はどうだろう。

こればかりは焼きあがってみないと分からない。

因果な仕事だ(笑)

今回(11月の窯焚きに向けて)は、

一つの器からいくつもの塊が湧き出すような造形と、

土の表情――テクスチャーにこだわってみた。

昨年作ったものと比べても、違いが際立つ。


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とにかく、長丁場だったけれど、

一つの物語は終わった、

相変わらず、とりあえずの達成感と、

いつも作陶のしまいに感じる

じれったさの板挟みになっている。

けっきょくは窯焚きで決着を付けなきゃならない。

因果な仕事だ(笑)

粉引手の器作りに取り掛かっている。

まず始めは、板皿や型抜きの食器。






【ようやく会えた】

今季初めての「白くま」ゲット!!

これにウィスキー数滴たらし、いただきまーす(笑)


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# by mikoyaryou | 2019-09-07 18:56 | 焼き物屋 | Comments(0)

されどちびっ子

ひと月あまりの帰省から

ちびっ子たちが帰ってきた。

この年頃の子供の成長は、

「少し見ぬ間に……」ってやつだな。

何だか爺さんだけ取り残された気がする(笑)







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―― 三つの女の子 ――

三つになる女の子がいる。

愛らしく、それでいながら

ちょっぴりずる賢く。

大人を試したり、からかったりしながら

ちゃんと自分の居場所を守っている。




三つになる女の子がいる。

飽きもせず駆け回るものだから

いつしか風になる。

お日様の眩しさになる。

そして、

かたくなな風景に溶け込んでしまう。




シリアスなはずなのに

コケティッシュで陽気な命は

少女の輪郭をはがし、

流れの中で「かくれんぼ」する。

僕にはただ、

彼女の眼差しだけが残る。







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おん姉と、おん兄は、

もはやじいじに「おんぶ、だっこ」の時を過ぎちまった。

二人で遊ぶことを覚え、ずいぶん手がかからなくなった。

成長は嬉しくもあり、寂しくもあり。


# by mikoyaryou | 2019-09-04 12:29 | 言の葉つづり | Comments(0)

されど焼き物

秋の窯焚きへ向けた大物作り(壺や花瓶)

のエンディングがようやく見えてきた。

5月初旬ごろから作陶始めたのだから、

こんなにかかってしまったのは

初めてのことかもしれない。

それは、この夏が高温多湿だったことばかりでなく、

新しい土の表情と出合いたくて、

ああでもない、こうでもないと、

逡巡しまくっていたからだ。

それはワクワクする高揚感と一緒に、

心身ともにどっぷりとした疲れを呼ぶ。

ああ、どこか海辺の温泉へ出かけ、

大海原を眺めながら湯に浸かりてぇ。

美味い海の幸を食いてぇ。

そんなことばかりが頭に浮かぶ。

やれやれ(笑)

とにかく、そんな難行苦行に一区切りがついて、

明日からは久しぶりに粉引手の食器づくりへとりかかる。

このごろ器のテクスチャーにこだわっているのは、

それによりどのくらい雄弁、多弁に語ることができるか、

確かめてみたいからだ。

器だけで、完成された造形物にしてみたい。

(花や木をいけなくとも)

身の程知らずにも、「今・縄文」を目指している。

それは焼き物にとって邪道かもしれないけれど、

文章を書く時だって、言葉が豊富にあればあるだけ

今まで秘めていた繊細な感覚を

伝える手立てを見つけられるかもしれないでしょ。

ラブレター書いたときみたいに……(笑)




① 多面的花器。――4

言葉で言うと形容詞・副詞の作用があるかもしれない。


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② 多口紋花器――1


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③ 浸食裂紋花器――1


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④ 波状裂紋花器――1


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⑤ 亀裂紋花器――1


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⑥ 褶曲裂紋壺――1


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⑦ 貼付紋花器――1つ(表・裏)


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⑧ 虫食紋壺――1


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⑨ 貼付紋陶画――1枚(拡大、1


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⑩ 漣紋陶画――1枚(拡大、1


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# by mikoyaryou | 2019-09-03 09:50 | 焼き物屋 | Comments(0)

御古屋窯           面白き事もなき世を面白く……


by 弥延 潤太